代表コラム10月号「危機対応ー子供達の安全保障のために」
幼稚園をはじめとする学校で最も大切なことは何でしょうか?
子供達を伸ばすために園の方針に基づいた具体的実践を行うこと?子供達が健やかに成長するため運動を沢山すること?
もちろんそれらのことは大切です。日々継続した実践で子供達の天分を伸ばすことは私達教育関係に従事する者達の責務でしょう。
しかしそうしたことを越えて何より優先されるべきことがあります。それは「元気に登園(登校)してきた子供を無事に帰すことです」この第一のハードルをクリア出来ての特色教育で、その第一のハードルが危機(クライシス)にさらされていては、どれ程素晴らしい特色教育をしていても褒められたものではないと思います。
当園でも「弁えと集中力を育む」「多岐にわたっての美醜を判断する感性の育み」を目的として、日々「読み書き算盤・音楽(MS)・体操」を実践しています。テンポ良くそれらを行い、子供達の承認欲求を満たしていくためにも教諭のスキルアップは欠かせません。そのため毎月第3土曜日に各分野での園内研修・園外研修を実施していますが、そうした研修以上に最も重要な位置付けの研修が9月9日(救急の日)にありました。それは「上級救命講習」です。危機管理は何より優先されるべきことで、予防するための取り組みは何より重要です。しかし不幸にも身体的に危機な状態が起きてしまった時、動揺して何も出来ないのではいけません。やはり日頃から救命法を理解し、実践出来るようにしておく必要があります。そうした危機対応のスキルを身に付けることは危機管理と同等に重要な事柄と考えています。
そうした考えで、昨年も「子供達の安全と命の保障」のため地元消防主催の救命講習を受講しました。しかし、今年からはより深い学びを求め年に一度の上級救命講習を受講することにしました。3時間程度の普通救命講習とは異なり8時間にわたる長時間の講習ですが大変有意義な研修であったとスタッフ一同感じています。学んだ内容は以下の通りです。
1.心肺蘇生法1人法および大出血時の止血法が、救急車が現場到着するのに要する時間 程度できること
2.自動体外式除細動器(AED)について理解し、正しく使用できること
3.傷病者の管理法、副子固定法、熱傷の手当、搬送法を習得すること
午前8:30より始まった講習は座学を幾らかやった後、班が編成され、それから実習主体で行われました。1と2に関しては昨年もやっていたのでスタッフの全員が戸惑うことなく出来、救急隊の指導員からも「はい、それでバッチリです!!」とお褒めの言葉を何度か頂きました。3については全員初めての経験だったので、メモを取りながら真剣に聞いていました。2本の棒と毛布で担架を作る方法、(大人を)搬送するのに負担の少ない方法等新たな知識を得ることも出来、濃密な学びの機会となりました。マネキン(大人・小児)で救命の実践をする際、その状況をリアルに想像し涙ぐみそうな場面もありましたが、気丈に救命の手順を行うことが出来ました。最後の試験で学んだことが確認されましたが、全員それまで学んだことを思い出しながら回答出来たようでした。
もちろん今でも学んだことは実践できると思いますが、誰もいない一人だけの状況で救命行動をするというのはやはり大変なことです。目の前の人の命が自分にかかっている…という重い責任を感じながら実践していくということは並大抵のことではありません。けれども考えることもなく勝手に体が動くというレベルまでになっていれば、スムーズに救命活動を行えると思います。園ではAEDを実際に使っての練習や嘔吐法は出来ませんが(なぜなら健康な方が意識を失いかねない大変危険なことなので)実践出来ることに関しては、今後も園内研修の中で触れていこうと考えています。それから年に一度の上級救命講習には毎年スタッフ全員で参加します。そのことにより年々身体に救命法が染み付き、園や(各スタッフの)ご家庭で何があろうと落ち着いて行動出来るようになると思うからです。また路上で偶然そうした場面に出会っても落ち着いて率先して救助活動が出来るようになるでしょう。
「安全・命の保障の上、子供達の天分を存分に伸ばす幼稚園」として今後も日々の実践活動を磨いていきます。
この度私達をご指導してくださった尾道消防署のスタッフの皆様、ありがとうございました。
御調みくに幼稚園
代表:玉崎 勝乗