コラム3月号「子供の心に火を点ける!!」
おかげさまで今年も本園開園以来毎年行ってきたMS定期演奏会・学習発表会を先日無事に終える事が出来ました。
構成は大きく分けて「音楽的分野」「算盤・論語の素読」「体操発表」という事で当初より計画を立て準備をしてきました。
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「音楽的分野」では、
?歌唱はオペレッタ風、全て頭声的発声で行う。
?台詞を入れると幼児の特性として棒読みになってしまうので、入れない。
?二部合唱の前段階としてサイドで「ル?」と歌うパートを設定する。
?リトミックからスタートする物語の中で歌唱を展開。飽きないように工夫する。
?時間割を調整し、全体練習を充分にして臨む。
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「算盤・論語の素読」では、
?毎日の算盤活動の中で、自信を持って答えられるレベルのもので臨む。
?全員で答える形を取り、検算担当の教諭が正誤の確認をする。
?舞台に机を置き、そこで(子供達が)実際に算盤をはじく。
?論語や漢詩を素読する際は、年少から順に発表する。
?素読するクラスのみが起立し発表する。
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「体操発表」では、
?クラスの子供達全員が出来る事を発表する。
?ハイという返事で機敏に動く事を求める。
?音楽が単なるBGMにならないよう、そのテンポに合わせて演技を展開する。
といったような事を先に決めて取り組みました。
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基本は日頃取り組んでいる事です。行事の前だけに取り組ませ、付け焼刃の演技をしたところで大した意味はありません。
発表会等の行事は「子供達が日頃取り組んでいる成果を保護者をはじめとした多くの方の前で行うことにより自信(≒自己肯定感)を得る事を目的としたもの」だからです。それを基底とし、日々行っている流れを損なわない程度のアレンジで定期演奏会・発表会に臨む事が私達のスタイルだと思うのです。その意識は現場スタッフ(先生方)も持ち、一丸となって本番の日に準備することが出来ました。場所や係の段取りをつけたり衣装を縫ったり大道具を作成したりピアノをスムーズに演奏出来るよう練習したり、地味ではありますが苦労の連続でした。しかし、子供達の喜ぶ顔を思い浮かべながらの準備の中でスタッフ全員遣り甲斐を感じていました。そういう意味では本当に貴重な時間を過せたと思っています。
ただし両手放しで喜べるワケではありません。衣装の帽子や鉢巻きが何度も落ちたり靴下が左右長さが違っているのに気付かなかったりというプロとしてはあまりにお粗末な状況があったのもまた事実です。見せ方という点でも反省する点は山ほどありました。
その中でも一番の反省点は「子供の心(ハート)に充分火を点けられなかった」ということです。やる気で燃え盛っている子供は表情が違います。その時の子供には、大人でもうっかり声をかけるのが憚られるほどです。確かに子供達は一所懸命やっていました。しかし、日頃から挑戦することをもっと楽しみ、「ハイ!」という返事で自分を鼓舞し物事に向かっていく姿勢を充分涵養出来ていれば、もっと違った結果になったように思えるのです。その為には、やはり繊細な観察に基づく環境設定、子供の心の風景の遷り変わりを捉え共感する姿勢が大切です。
今回の定期演奏会・発表会ではいい面も改善すべき面もクリアに露呈したように思います。子供達の頑張りは申し分ありませんでした。スタッフも準備の為に生地や素材を手に入れるところから本当に良く頑張ったと思います。《点》で観れば申し分ないでしょう。しかし《線》で俯瞰した時、それはあまりに「惜しい」だらけなのです。今後カリキュラムを再構築し、子供軸に立ち実践する為の研修を充実させたいと思います。
一方で忘れてはならないのは『ダメなスタッフはいない、ダメな園長がいるだけだ』という事です。ですから「先ず隗より始めよ」という諺にあるように私が学び、身を以て範を示す事が急務であると考えています。
色々厳しい見方をしていますが、最後にこれだけは伝えたいです。
「子供達、保護者の方々、スタッフの皆様、本当にありがとうございました!!」